先行研究として,階層的マルチアトラス法が提案されており,この方法により姿勢変化の大きい症例でも抽出精度が向上した.しかし,依然として姿勢変化の大きな症例は抽出精度が比較的悪いままであった.
そこで,本研究ではCT画像を3分割して,階層的マルチアトラス法を用いることで抽出精度の向上を目指す.
実験は骨盤部ー大腿部(実験1),下肢全体(実験2)の2つ行い,どのような症例であれば,精度のよい筋肉組織領域の抽出ができるかを確認する.
実験1では,左下肢・右下肢・CT画像全体の3領域,実験2では骨盤部・左下肢・右下肢に3分類する.
対象患者は,人工股関節全置換術を施術予定の患者で,疾患により,足がまっすぐ伸ばせない患者もいる.そのような患者にも,安定的に動作する方法を確立することを目指す. 下肢全体をひとかたまりとした場合よりも,分割して領域抽出した後足し合わせる方が時間的効率も良いため,分割にかかる手間と抽出精度を考慮して,下肢全体では何分割すれば効率が良いかの考察も行う.