ガウス過程を用いた判別的な動作意図予測器と起立支援ロボットへの応用

石倉裕貴 (1551009)


近年,動作支援ロボットは高齢者や身障者の動作支援や介護者の作業支援などの用途が想定されることから研究が活発化している. 動作意図予測に関する研究において,リハビリのための単一の動作のみを行う状況を想定しているものが多い. しかしながら,日常生活において人間は多様な動作を行っており,対象動作以外の動作も多く存在ため,先行研究を模した手法では誤った支援を行ってしまう危険がある.日常動作を支援するロボットへの応用を考えると,多様な動作の中から対象動作を判別し,同時に動作意図予測を行う予測器が事実上必要である.

そこで本研究では,ガウス過程に基づいた対象動作と非対象動作との判別性を有する確率的な動作意図予測器の設計手法を提案する. 具体的には,センサ入力から動作意図予測を行うガウス過程モデルとして考え,対象動作と非対象動作について判別的な潜在特徴空間を中間層に持つ階層ガウス過程モデルを提案する. これにより,非対象動作に対する誤った予測を回避した動作意図予測が期待できる.

本研究では,人の日常生活における基本動作の1つである椅子からの起立動作を対象として,筋電位信号などのセンサデータから,起立動作中の臀部が椅子の座面から離床する瞬間を予測する問題を考える. さらに,提案手法による動作意図推定器を実装した電動座椅子型ロボットにより実機実験を実施した. 実験の結果,提案手法の有効性を確認し,起立支援効果があることを示した.