逐次ベイズ推定による車線変更時刻の推定
浅山 和宣 (1551003)
自動車は世界各国の人々にとって,生活に欠かせない道具となりつつあるが,交通事故で命を落とす人は年間120万人に上る.事故を抑制する手段の一つとして,Advanced Driver Assistance System(ADAS)のような,運転を支援するデバイスの研究が近年進められてきてきた.このようなシステムにおいては,運転行動のモデリングによって,より進んだ機能が実現できると考えられる.運転行動のモデリングについての研究は数多くなされているが,周辺車両と運転行動の関連性についての研究は未だ少ない.そして,車線変更は周辺車両に大きく影響すると考えられる.そのため,今回発表する研究内容についてはモデルの対象を車線変更に絞った.車線変更を予測し高い成果を上げた研究はいくつか存在するものの,何れも,周辺車両との関わりを明らかにしていないこと,ハンドル操作を始めてから推定を行うこと,推定時刻を得られないこと等の課題が残っている.
そこで,車線変更開始前における周辺車両と自車両との関係性について可視化を行った結果を紹介し,それを踏まえて,逐次ベイズ推定が本タスクに有用であることを述べる.次に逐次ベイズ推定の手法の紹介と,車線変更開始タスクにおける例を紹介する.最後に,車線変更開始までの時刻に分布をおき,その分布を更新することで車線変更推定を行った結果,分布を更新していくことでより誤差の少ない推定結果を得ることができ,周辺車両との関連性を用いて逐次的なアプローチを用いることが車線変更開始の推定に有用であるということを述べる.