実験とシミュレーションの安静時脳活動の時空間的ダイナミクス評価

遠藤 栄典(1451022)


近年functional Magnetic Resonance Imaging (fMRI)を用いたResting-State Networks (RSNs)の研究が注目を浴びているが,相関に基づく現象論的説明が中 心であり,その生成メカニズムの理解は十分ではない.神経集団ダイナミクス モデルを用いた計算論的アプローチにより,領野間の構造的結合に制約された 神経集団ダイナミクスが実験の安静時fMRI機能的結合を再現されることが示さ れてきたが,脳情報処理が行われるミリ秒の速い時間スケールの実験データを 説明可能かは分かっていない.本研究では約100ミリ秒の持続時間を持ち遷移的 な脳波空間パターンからなるMicrostateに注目し,安静時fMRI機能的結合およ びMicrostateの速い時間変化の双方を再現する神経集団ダイナミクスが存在す るか調査した.領野間の構造的結合強度と興奮性ニューロンの発火に関するパ ラメータを探索した結果,領野間の同期に伴い安静時fMRI機能的結合および Microstate双方を中程度の相関値で再現するダイナミクスが存在した.