無線LAN特性に基づいたマルチコプターの飛行探知指標の提案と評価

岡本 薫 (1351201)


マルチコプターの飛行を検知する手法として,カメラ,サーモグラフィ及びマイクロフォンの利用が発表,提案されている. しかしそれらは制約事項が多く,完全な技術ではないと考えている.そのため,複数の手法を組み合わせてそれぞれの短所を補いながら実施することが肝要である. マルチコプターが発する姿,熱及び音を捉える以外の,電波を捉える手法について検討を行った.マルチコプターは操縦用に無線LANを使用する機種が複数存在する. マルチコプターと操縦端末の間で送受信される情報をパケットキャプチャすることより,操縦形態や位置情報,姿勢情報,機体情報をモニターすることが可能であることが明らかになった.

しかしながら,マルチコプターと操縦端末間の通信を暗号化し,その内容を秘匿する. マルチコプターと操縦端末のコネクションを切断し,GPSによる完全自動操縦に移行した場合は,パケットキャプチャが非常に困難となる.その場合の対策として,マルチコプターが送信するビーコン・フレームに着目した.多数のセンサーによりビーコン・フレームの受信状態を比較し,空中を移動するAPであるマルチコプターの飛行検知への利用について検討を行った. その結果,周辺の環境や時間帯に大きく影響を受ける場合があるが,良好な条件下においては,他の手法にはない長距離広範囲の飛行検知の可能性について示すことができた.

この発表では,およそ1年半に及びマルチコプターに対するセキュリティに取り組み,マルチコプターを安全に運用しながら得た様々な成果を披露する.