慣性特性および等尺性最大筋力の推定による手部筋骨格モデルの個別化

近藤 雅也 (1451202)


近年,人の姿勢や動作を定量的に評価し製品のエルゴノミクス評価や動作のメカニズム解析を行うために,多様かつ高精度な身体モデルの開発が行われている. 有限要素モデルや筋骨格モデルなど様々な身体モデルが構築されているが,それらの多くは成人の平均値や解析対象の代表的な値に基づいて構築されたり,リンク長のみのスケーリングしか行っていない.そのため製品のユーザに,本人の特徴を捉えた評価や動作解析をすることは困難である. そこで本研究では,人の個人差を計測に基づいて推定し,個人別の筋骨格モデルを構築することを目的とし,その手法について提案する.個人差を推定するためにモーションキャプチャや寸法計測によって表皮メッシュを生成し,リンク構造に基づいて分割することにより,身体の各部位の慣性特性を推定した.また力覚センサにより最大発揮力を計測することによって等尺性最大筋力のパラメータを推定した.構築した個人別筋骨格モデルを用いた最大発揮力推定精度の検証実験では,個別化前の筋骨格モデルと比べて高い精度で最大発揮力を推定できていることがわかった.