非最小位相プラントに対するフィードバック誤差学習制御
山崎 翔太 (1451115)
フィードバック誤差学習(Feedback Error Learning: FEL)はKawatoらにより提案された生体の運動学習モデルである.
FELは学習型フィードフォワード(FF)制御器と固定フィードバック(FB)制御器からなる2自由度制御系として構成される.
FELではFF制御器がプラントの逆システムをオンラインで学習し, 学習後の系全体の特性がプレフィルタ(設計者が与えた規範モデル)に一致する.
近年ではFELを適応学習制御の枠組みで解析・設計する研究が進められている.
線形な誤差方程式に基づいたパラメータ調整則やプレフィルタ統合型FELなどが提案され, 数値シミュレーションで良好な結果が得られている.
しかしながら, FELの適用可能なプラントは最小位相系に限定されており, 柔軟アームのような非最小位相系には適用できないという課題が依然として残っている.
そこで本発表ではFELの制御則・パラメータ調整則を改良し, 非最小位相系にも適用可能なFELを提案する.
提案法はFF制御器とプレフィルタの分母に設計者が希望する極配置を与え, プラントの極と零点はFF制御器とプレフィルタの分子でそれぞれ学習する.
この構成により学習過程におけるFF制御器とプレフィルタの極が安定となり, 非最小位相プラントに対する適用が可能となる.
発表では特に, 提案法の有効性を数値シミュレーションと実機実験により検証した結果について述べる.