手指機能障害者のための第3の手となる生活支援デバイス

松永 拓也 (1451099)


これまで手指に障害を抱えた方の把持動作を支援する機器として,外骨格型デバイスが研究されてきた. しかしながら,外骨格型デバイスの対象となるのは手指の可動域が把持を行うのに十分な方だけであり,関節の可動域が少ない場合や,関節の動作に痛みを伴う場合には適用することができない. また,外骨格型デバイスを用いて実現できる把持動作は握力把持のみであり,日常生活を行うには,より多様な把持動作を実現する必要がある.

そこで本研究では,手指機能障害の障害度に関わらず装着,使用することが可能な第3 の手となる支援デバイスを提案した.対向3 指義手のハンド部をハンド部に用いることで,複数の把持方法が可能な支援デバイスを開発した. また,シンプルな機構,3D プリンタにより部品の製作を行うことで,メンテナンス性が高く,軽量な支援デバイスを実現した. 重量は321 [g] で,曲げセンサによって残存している運動機能を操作に用いることで,様々な機能障害に対応した.

開発した支援デバイスを使用し,上肢機能評価テストを行った結果,実際の機能障害者においても健常者同様の速度で操作を行い,様々な形状の物体を把持することが可能であったことから,本デバイスの有用性を確認した.