そこで本研究では,距離画像から得られる幾何情報を利用して対象物体の隠れの範囲を推定し,テンプレートに適切な変更を加えることで物体認識を行う方法を提案する.オクルージョンによる物体認識精度の低下は,物体認識に用いるモデルが欠けの無い完全なモデルを用いていることに起因する.そのため,オクルージョン下における対象物体の隠れを推定し,隠れに応じたモデルを作成することにより,認識精度が向上すると考えられる.
まず,RGB-D センサから得られるシーン点群をクラスタリングにより領域分割し,また平面検出によって得られる机・床平面を利用して隠れ領域の推定を行う.物体の検出にあたり,推定した隠れ領域に対応するテンプレート領域を除去し,LINEMOD による物体認識を用いることでオクルージョン下における物体を検出する.
実際に,オクルージョン下での物体検出実験について従来手法との比較を行い,提案手法の有効性を検証した.物体検出実験の結果,従来手法と比較し高い検出結果を得ることができた.また,実機を用いた実験により,提案手法を用いてオクルージョン下でロボットが物体を探索できることを示した.