歩行特徴の遷移学習による個性を残した歩行変化予測

東口 剛士 (1451086)


本研究では,歩行特徴(歩行速度,重心位置など)を遷移させた際にとる歩行変化を予測する手法を提案する.従来研究によって,歩行速度や重心位置が歩行能力の低下や転倒リスクに関係することが知られており,高齢化社会における今日では,歩行能力低下,転倒などを予防することが求められている.現在では,これらの知見を基に,理学療法士による視覚的な教示や,外骨格ロボットによる動作補助によって歩行リハビリテーションが行われている.しかし,歩行は,個人差を多く内包する動作であるため,その個性を無視して教示してしまうと,歩行に違和感を感じたり,身体を痛めてしまう可能性を高めてしまう.そこで本研究では,歩行能力の低下や転倒リスクと関係する歩行特徴を遷移させた際の歩行変化を個性を残したまま予測できる手法を提案する.本手法は,複数人の時系列的な歩行姿勢データの間で,連続的に変化する歩行特徴(例:歩行速度,前傾角度)の類似性を評価し,そのデータ間の遷移モデルを学習する.この遷移モデルを,各歩行特徴の連続性を保持・強調するように最適化する.これにより,任意の時系列歩行姿勢データが与えられた際に,該当する歩行特徴のみが遷移した際の歩行変化を予測する.実験の結果,個性を残したまま歩行変化予測が可能であり,関節位置の平均誤差36.6mmの精度で推定可能であることを示した.