スプリントトレーニング支援のための複合現実感型床反力可視化方法の検討

早田 昂生 (1451084)



短距離を全力疾走する競技であるスプリント競技において,加速曲面における疾走速度を向上させるためには,足の接地時における床反力の分析と改善が重要である.現状のトレーニング時には,フォースプレート上を走行した際の三次元床反力の時系列変化をグラフなどで確認しているが,この方法では,実際の走行時の足接地時の姿勢と床反力の関係を直感的に理解することは難しい.このような問題に対して,本研究では実環境を撮影した映像上へコンピュータ上で生成される仮想情報を重畳表示することが可能な複合現実感技術を利用することで走行時のフォームと床反力の直感的な把握を実現する.複合現実感技術による床反力の提示を実現するためには,撮影映像と床反力データの位置合わせが必要となる.そこで,本研究では,この位置合わせ技術に着目し,トレーニング時の走行動作の撮影方法,走行環境の特徴を用いたカメラ位置・姿勢推定手法を提案する.これにより,床反力データを走行時の撮影映像上へ重畳表示することが可能となり,走行フォームと床反力の関係の把握が容易となることが期待される.


実験では,提案手法による床反力の走行を撮影した動画上への位置合わせの結果,三次元座標が既知な基準点を参照可能な動画前半において動画像上の足の接地位置へ床反力の情報を重畳表示できることを確認した.一方で,参照できる基準点が観測出来なくなる後半においては,期待される重畳位置と実際の足の接地位置にズレが生じることが確認された.