fMRI(functional magnetic resonance imaging)やPET(Positron Emission Tomography)を用いて脳血流を測定し活動的な脳部位の同定が行われている。 しかしこれらの装置の空間解像度は、微小血管レベルでの血流変化を検討するには十分ではない。
これに対し本研究では共同研究グループが独自に開発したCMOSによる脳血流イメージング装置を使用し、この装置では微小血管レベルでの赤血球の移動を撮影することで脳血流速度の変化を検出できる。 この装置で、撮影された動画より血流速度を求める手法は人の目視であり、計測者によるばらつきを無視できない問題があった。
そこで画像中の脳血流量を自動検出する手法を2つ提案し、比較検討した。1つはHough変換法を用いた解析で、もう1つは正規化相互相関係数を用いて選択pixelの輝度値変化の類似度より血流変化を求める相関法である。
良好な結果となった相関法を用いて脳梗塞モデル、強制水泳モデルマウスの解析を行い、脳活動の変化を検出した。
脳梗塞モデルマウスの解析では、梗塞前後で梗塞部分上部に血流速度の減少が見られ、平行血管、分岐下部に上昇が見られた。また、水泳モデルマウスの解析では水泳状態の方が無動状態よりも血流の上昇が見られた。
提案する血流速度推定法によって正解率50%以上の状態に伴う血流変化を計測可能であることが確認された。
脳機能イメージングの現場では、実験時の血流速度をリアルタイムで計測・可視化するシステムが望まれており、本研究で検討し、解析に使用した相関法が応用できる可能性が示唆された。