マイクロレンズアレイを用いたヘッドマウントディスプレイのボケ補正のためのキャリブレーション法

壷内貴弘 (1451076)


ヘッドマウントディスプレイ(HMD)はバーチャルリアリティや拡張現実感などの分野で,様々な場面において情報提示デバイスとして利用されている.さらに,微細加工技術や情報処理端末の小型化による技術革新に伴い,小型かつ高精細なディスプレイの開発が可能となりつつある.中でも,マイクロレンズアレイを用いたLight Field Displayは焦点距離の短いレンズにより構成が可能であるため,HMDの小型化という観点で注目を集めている.しかし,マイクロレンズアレイを用いたLight Field Displayでは,マイクロレンズの製造誤差やマイクロレンズとディスプレイの設置誤差により提示される画像がぼけるという問題がある.そこで,本研究では,マイクロレンズアレイを用いたLight Field Display技術に着目し,マイクロレンズとディスプレイの設置誤差に起因する提示画像のぼけに対して,具体的には,実際に画像の提示を行い,その結果をカメラで観測した隅のボケが最小となるような画像提示位置を手動で算出する.このキャリブレーション結果に基づき画像を提示することで,設置誤差によるぼけを解消すること目指す手法を提案する.この手法を基に画像補正を行った結果,補正前の画像と比べると画像のボケが改善された.また,ディスプレイの座標と提示画像の座標の分析の結果,今回の実験において用いたマイクロレンズの製造誤差が画像のボケに対して起因していることがわかり,キャリブレーション補正が有用性であることを示した.