言語横断質問応答に適した機械翻訳手法の検討
杉山 享志朗 (1451060)
大規模な知識ベースを用いることで、質問応答システムは幅広い質問に回答することができるようになる。
しかし、知識ベースは言語によりそのカバレージに大きな差があり、カバレージが低い言語で質問応答を行うためには
機械翻訳などを用いて言語横断質問応答を行う必要がある。
機械翻訳を利用して言語横断質問応答を行う場合、翻訳精度が質問応答の精度に影響を与えることは明らかである。
一般的な機械翻訳システムは、評価結果が人間の評価に相関を持つよう設計された自動評価尺度によって評価・最適化されているが、
人間にとって良い翻訳結果が質問応答に適した翻訳結果と同一とは限らない。
本研究では、複数の翻訳手法を用いて質問応答データセットを作成して質問応答を行い、評価尺度と質問応答精度との関係を調査した。
その結果、質問応答精度に影響を与える翻訳の要因や、質問応答精度と相関が高い評価尺度を明らかにし、
質問応答に適した機械翻訳システムを作成するための知見を得た。
さらに、質問応答精度と相関の高い評価尺度を用いて、翻訳候補の中から適切な翻訳結果を選択することで、
言語横断質問応答の精度を改善できることを示す。