太陽光発電システム群の分散協調制御

清水勇志 (1451057)


近年,エネルギー枯渇問題や地球温暖化,災害時の対策に向けて,太陽光発電が注目を集めている. 太陽光発電による出力は,気象条件により変動するため,多数の太陽発電設備から構成される電力システムにおいては,需給バランスを維持するための対策が必要となる. これまでに様々な研究が行われているが,多くの研究では,膨大な数の太陽光発電設備を想定しておらず,また,電力の地産地消の問題も考慮していない.

そこで本発表では,多数の太陽光発電設備から構成される太陽光発電システム群に注目し,発電設備の系統への連系/非連系(ON/OFF) を制御することにより,需給バランスを維持する問題を扱う. 具体的には,各発電設備に実装した分散制御器を情報ネットワーク上で協調させて適切にON/OFF を決定することを考え,分散制御器の設計問題を定式化する. そして,問題の解として,シンプルな制御器を提案する. 提案手法は,分散的に制御を行うため計算量が少なく,膨大な数の太陽光発電に対処することができる. また,故障耐性が高く,電力の地産地消を達成することが期待できる.

3つの数値例により,提案手法の有用性を示す. まず,従来手法と比較することで,需給バランスと,従来手法では考慮していない地産地消を達成できることを確認する. つぎに,最適解と一致する数値例をいくつか確認する. 最後に,需給バランスの劣化を抑えながらON/OFF切替回数を削減できることを確認する.