リシード機能を持った重み付きランダムパターンによる組込み自己テスト手法

里中沙矢香 (1451053)


テストコスト削減の一手法として組込み自己テスト(Built-In Self Test, BIST)が幅広く用いられている.しかし,擬似乱数を用いたBISTでは,故障検出率が低い,テスト時間が長いという問題点がある.これは,擬似乱数パターンでは検出が困難な故障であるRandom Pattern Resistant故障の存在が原因である.

本発表では,短いテスト時間,少ないテストデータ量で高い故障検出率を達成することを目的とし,重み付きランダムパターン生成技術にLFSRリシーディング技術を組み合わせた提案手法について説明する.従来の重み付きランダムパターン生成技術では,LFSRのシードは固定とし,重みデータを変更することで高い故障検出率を実現している.これに対し,本研究の提案手法では,重み付きランダムパターンを用いるが,各FFの重みを1つに固定することで重みデータを不要とし,テストデータ量が小さいLFSRリシーディング技術を用いることで,少ないテストデータ量で高い故障検出率を実現する. また,本発表では,各FFに対する重みを固定した場合でも,高い故障検出率を実現可能とするスキャンチェーンの構築方法について説明する.さらに,Random Pattern Resistant故障に対する決定的テストパターンから,重み付きランダムパターン発生器のシードを生成する技術についても説明する.

実験結果より,LFSRリシーディング技術および重み付きランダムパターン生成技術に対する提案手法の有効性について説明する.提案手法は,LFSRリシーディング技術に対して,同一の故障検出率を実現するために必要となるテストデータ量で最大80%の削減を達成した. また,重み付きランダムパターン生成技術に対しては,提案手法はテストデータ量で最大78%の削減が可能であることを示した.