密な三次元復元における各種パラメータが復元精度に与える影響の分析とその改善

酒井 一樹 (1451010)


2011年に発表されたDTAM: Dense Tracking and Mapping in Real-Timeは単眼カメラ画像列からリアルタイムで実環境の密な三次元形状とカメラの位置・姿勢を推定することが可能である.しかし, 高精度な復元処理を実現するためには, 各種パラメータを調整する必要があり, 各パラメータが復元精度に与える影響は明らかにされていない. また, DTAMでは, 最適化処理において, 輝度勾配と奥行の不連続性には相関があるという仮定の下で正則化を行っているため, 同一平面上に強い輝度勾配が観測される場合には, アーチファクトが観測されるという問題がある. この問題に対しては, 自然特徴点制約を付加する手法が提案されているが, その効果は定量的に評価されていない.

そこで, 本研究では, まず, 1)DTAMにおける各種パラメータと三次元形状復元精度の関係について明らかにし,2)自然特徴点制約の効果の定量評価を行った.その結果,入力する画像間のベースラインの長さが精度にもっとも影響を与え, 自然特徴点制約を付加する手法は, 復元精度の低下が認められた. 次に, DTAMの最適化処理において三次スプライン補間を用いた評価関数の補間を行うことで,サブピクセル精度での奥行情報の推定を実現する.実験により, 提案手法を用いた場合には,より高精度な復元処理が実現可能であることを確認した.