Pull-Based開発を支援するツールの開発と評価

齋藤 雄輔 (1451049)


近年,OSSプロジェクトにおけるソースコードの管理方法として版管理システム(Git)とそのホスティングサービス(GitHub)が用いられている. 中でも,GitHubの機能の一つであるプルリクエストを用いた開発管理手法としてpull-based開発が多くのプロジェクトに適用されている. 開発者はpull-based開発において,開発の手順に従うため版管理システムを状況に応じて適切に操作しなければいけない. しかし,これらの作業は煩雑であり,さらに版管理システムの深い知識を要求する. 本研究では,pull-based開発に不慣れなの開発者を支援するツールgit-spriteを提案する. GitHubのpull-based開発を行うプロジェクトの開発者1,552人に対してアンケート調査を実施し,ツールで支援すべき内容を精査した. 調査の結果を基にgit-spriteの要件を検討および実装した. git-spriteでは,煩雑な作業を簡単な単一操作に置き換えることで開発者を支援している. また提案ツールの有効性を評価するため,他の開発環境であるコマンドラインインタフェースおよび代表的なGUIツールであるSourceTreeとの比較実験を行った. 評価の結果,git-spriteはpullbased開発初学者に対し開発速度および正確さの点で他の環境より優れており,支援ツールとして有効であると確認した.