実際に老人ホームにてヒアリングした結果として, 屋内における利用者の大まかな位置を知ることができるだけでも負担が大幅に軽減できることがわかっているが, 既存の研究やサービスの多くは煩雑な計測機器の所持を強いるなど, 利用者側への負担が多く,本研究において対象とする高齢者にとっては実用的ではない.
本発表では, 利用者に負担をかけることなく領域判定, 行動推定が可能なシステムとして, Bluetooth Low Energy(BLE)ビーコンから発信されるアドバタイズメントパケットの受信信号強度(RSSI)を用いた領域判定と, 判定結果を基にした行動履歴の生成を行うシステムを提案する. 提案システムのうち, 領域判定部分に関して複数人で利用可能であるか, 様々な環境において実用が可能であるかの検証を行っている. 検証実験では, BLEのRSSIのみで, ユーザの存在領域を70%以上の精度で判定可能であることを確認した. またヒアリングの結果, 行動履歴の生成が介護における負担軽減に大きく貢献できることを確認した. これらの結果より, 提案システムは負担の少ない見守りシステムの構築に大きく貢献することが可能であると考えられる.