本稿では,IoT用無線通信規格であるIEEE802.11ah向けとして,回路規模の小さいパイプライン化FFTアーキテクチャを提案する. 従来手法では回路規模の大きな複素乗算器やデータアクセスに時間を使うROMを用いて,加算器の出力と回転因子の乗算を行っている. そこで,特定の数値と符号の組み合わせから成る回転因子の対称性に着目し,ROMや複素乗算器を使用しない回路設計を行った. そして提案手法と従来手法を比較するため,16点FFTパイプライン化回路として論理合成によりそれぞれ実装し,評価実験を行った. その結果,提案回路は従来回路に比べて,全体として最大30\%のゲート数削減を実現した.