ゴール構造化記法を用いた汎用的な安全要求の明確化と評価

柿本和希 (1451032)


一般安全要求や安全に関する標準規格など,特定の分野のシステムに汎用的に適用される安全要求はあいまいな記述を含んでいる. あいまいな記述に対する解釈の誤りは要求の意図から外れた過不足のある設計につながるため,必要のないコストの増大や事故の要因となりうる.

本発表では,あいまいさの原因として汎用的な安全要求が暗黙的に仮定する知識などの暗黙知に着目し,それらを明確にすることにより,関係者の相互理解の促進やシステムの安全性の向上を目指した取り組みについて述べる. 具体的には,宇宙分野において用いられるコンピュータによるハザード制御を行うシステムに対する安全要求(Computer Based Control System safety requirement,CBCS安全要求)というを対象とした明確化を行った. CBCS安全要求は宇宙分野において用いられる一般安全要求である. CBCS安全要求の明確化にはゴール構造化記法(Goal Structuring Notation,GSN)という記法を用いた.

さらにその有効性を評価するために行った,宇宙航空研究開発機構の技術職員を対象とした比較評価実験の結果についても述べる. 実験の結果,一般安全要求の意図から外れた誤りの発見と訂正においてGSNによる明確化の有効性を確認した. また定量的結果と定性的結果の関係に着目して分析することで,GSNによって明確化されたCBCS安全要求では従来の安全要求に比べて開発者及び審査者の実感と実際の結果のかい離が少ないことが確認できた.