端末の移動経路情報を用いた避難誘導システムにおける想定外避難者の検出
大槻紘平 (1451025)
災害発生時に避難者の携帯端末から収集した移動軌跡情報(位置測位の点列)を用いて避難誘導を行うシステムの研究が行われている(小松ら,2015).
このシステムは,避難者が一時避難場所へ向かって避難を行う前提のもとで,携帯端末が提示した避難経路(推薦経路)通りに避難者が通行しなかった道路を通行不能箇所のリストに追加する.
その情報を他の避難者との端末間通信や既存の通信基地局を介して共有することで,システムは通行不能箇所情報に含まれる道路を避けて推薦経路を提示することができる.
このとき,一時避難場所以外の目的地へと移動する避難者(想定外避難者)が存在すると,その避難者は推薦経路に従わず移動し続けることになり,誤った通行不能箇所情報が避難者間で共有され,推定方式が正常に動作しなくなる.
本発表では,まずシミュレータ上での実験により,想定外避難者の存在が全体の避難行動を遅らせることを確認する.
次に,避難完了時間の悪化を抑えるため,リアルタイムバースト検出手法(蝦名ら,2010)を用いて想定外避難者を検知するための方式の提案を行う.
最後に,提案手法を用いて想定外避難者を検知した場合に,該当する避難者によって発信された通行不能箇所の情報をシステム上から削除することで,一時避難場所へ避難する避難者の避難完了時間を改善できることを示す.