メモリの隣接パタン依存故障に対するマルチバックグラウンドマーチテストの自動生成

上岡 真也 (1451017)


 半導体技術の向上により集積回路の集積度が向上しており,論理回路において隣接する配線の及ぼす影響が大きくなっているように,半導体メモリでも隣接するセルの及ぼす影響が大きくなっている.そして製品のメモリが占める面積も増加しているため,メモリテストの品質が製品の信頼性に直結する.隣接パタン依存故障(Neighborhood pattern sensitive faults : NPSF)とは,隣接するメモリセルの値や遷移に起因する故障モデルで,集積度の高い現在のメモリでは重要な故障モデルとして知られている.NPSFを検出するテストの一手法であるマルチバックグラウンドマーチテストは,マーチテストと呼ばれるテスト手法を拡張して,演算する値にバックグラウンド(Background : BG)と呼ばれるデータを組合せたテストである.マーチテストは,メモリセル数に対してテスト長が線形時間で,ハードウェアでの実装も容易なテストであるため,現在のメモリテストで広く用いられている手法である.本研究ではNPSFを検出するマルチバックグラウンドマーチテストの自動生成を目的とし,テストの自動生成によりテスト長の削減や故障検出率の向上を図る.提案手法はテストで使用するBGと検出される故障を,グラフにモデル化し、整数計画問題によりテストを自動生成する.実験結果では現実的な時間で,NPSFを検出するBG列が自動生成可能であることを示した.故障検出率100%を制約条件,テスト長の最小化を目的関数として整数計画法により解くことで,既存のNPSFのテストと同じ96Nのテスト長のテストを生成できた.またテスト長を制約条件,故障検出率の最大化を目的関数とすることで,既存のメモリテストから無作為にテスト長を削減するより故障検出率が 1-7% 高くなった.