避難者とモバイル端末の連携に基づくオフライン型避難誘導アプリケーションの設計,実装,評価

糸井純暉 (1451009)


大規模災害発生直後,通信インフラが一部被災した状況下でも迅速に避難誘導を実現可能な技術が求められている.このような背景の下,先行研究では避難者とモバイル端末との連携に基づく自動避難誘導方式が提案されている.本発表では,この方式を実際のモバイル端末上にアプリケーションとして実現し,その実用性や有効性について述べる.まず,アプリケーションに必要となる機能(測位,避難者状況推定,グラフ処理,情報提示,通信制御)とそれらの関係性を整理する.なお避難者状況推定に関しては,GPSによる誤差を含む測位座標をグラフ上の辺(道路)へとマッピングするためのマップマッチングと呼ばれる方式を応用することで,避難者の通行する道路や通行不能箇所との遭遇を推定できるような方式を提案する.設計に基づき,通信機能以外の各種機能を有したオフライン型アプリケーションをモバイル端末上に実装する.各種機能の実現には,オープンソースのソフトウェアやオープンデータを用いるとともに,iOSやAndroid等の複数のモバイルOS上で動作可能なハイブリッドアプリとして実現する.実証実験を通して,GPSの測位誤差,モバイル端末のバッテリ消費,計算時間といった観点から,モバイル端末の基本的な性質を明らかにする.さらに,道路遷移や通行不能箇所の推定成功率の観点から避難者状況推定方式の有効性を示す.