複数プロジェクタを用いた4次元光線空間の生成による多重スクリーンへの個別情報提示
石原葵 (1451008)
コンピュータの進歩にともなう計測と情報の保存技術の向上により,情報は高次元化し,膨大な量になっている.その一方で,情報の提示は2次元平面のディスプレイを用いたものが主流であるが,大量の情報の提示には必ずしも適してはいない.本研究では,複数のプロジェクタを用いて4次元光線空間を生成し,これにより異なる距離に配置された複数のスクリーンにそれぞれ異なる画像(目標画像)を同時に表示する,新たな情報提示方法,多重スクリーンへの個別情報提示を提案する.複数のプロジェクタから発せられた光線空間はスクリーンを通過する際,各スクリーン上ではプロジェクタからの距離に応じて固有の光線の組み合わせになる.そのため,各スクリーンに表示される目標画像は各プロジェクタから発せられる光線の和によって表わすことができ,線形な式で書くことができる.これを解くことで目標画像を表示する光線空間を求めることができる.画像の組み合わせによってはあらゆる光線を生成できたとしても実現できない場合が多くある.更に,実際にプロジェクタで生成できる光線の強度は有限であるため,スクリーン上に任意の目標画像を表示できる保証は無い.そこで,目標画像を適切に調整することで有限の光線で多重スクリーンへの個別情報提示を実現する.具体的には,目標画像の微分値を満たす光線空間を求め,適切なオフセットを与えて投影する.シミュレーションと実環境において実験を行い,提案手法により投影結果が改善されたことを示す.