パーソントリップ調査に基づく移動モデルとそのDTNルーチングに対する影響評価
石倉 明生(1451007)
中断や分断が生じやすい環境下でも信頼性の高いデータ通信が行える通信ネットワークとして,Delay Tolerant Network (DTN)が提案されている.人の持つモバイル端末を介した端末間通信において,DTNプロトコルなどをシミュレーションによって評価する際,人の移動モデルがシミュレーション結果に大きな影響を及ぼす.本発表ではより現実に近い移動モデルを構築するために,パーソントリップ調査と呼ばれるアンケート調査に基づく実際の人の移動データを使用し,新たな移動モデルを提案する.提案するモデルでは都市部で移動する人の一日の動きを,人が動き出す時間,目的地までの移動距離,目的地到着後から次の移動を開始するまでの待ち時間,帰宅行動を開始するタイミングなどの設定によって詳細にモデル化する.人の2点間の移動距離や駅を出発する時刻,目的地滞在時間などを,実データから最尤法や赤池情報量規準などを用いて推定する.構築したモデルをシミュレータ上に実装し,既存の移動モデルとの違いを見るため,人同士のすれ違い回数の測定と比較を行う.さらに,あるノードから生成されたメッセージがDTN通信によって伝搬する際の時間ごとのメッセージ伝搬率の比較を行う.