固定RGB-Dカメラを用いた手持ち物体のモデリングシステム

黄 頌友(1351124)


 実物体の3次元モデル生成には一般的に高度な技術を要する.これに対して,実物体をRGB-Dカメラで移動撮影して得られた点群に基づいて,その実物体を自動で3次元モデ ル化する手法が提案されている.しかし,この手法では実物体を固定撮影することを前提としているため,対象物体の接地面などが撮影できず,3次元モデルに欠損が生じるという問題がある.これに対して,特に手で把持可能な小物体を対象とし,固定RGB-Dカメラを用いて把持した実物体を回転移動させながら撮影することで,欠損のない3次元モデルを生成するシステムが提案されている.従来手法では入力点群から把持部と対象物を区別するために高価なハードウェアや特殊な撮影環境を用いており,一般ユーザの利用には向かない問題点があった.

 本研究はこの問題点に対し,素手による把持を想定したシステムを提案する.提案システムでは,ユーザの手と対象物体の位置関係が変化することに着目し,入力点群に存在するある3次元点が剛体運動で記述できるかにより把持部の点群と対象物の点群を区別する.具体的には,提案システムは3次元特徴点および特徴量を利用して入力点群を対応付けした後,RANSACを用いて対象物の点群位置合わせを行う.続いて,位置合わせする際に行う剛体運動変換により位置合わせできない点群を把持部として除去した上にICPアルゴリズムを用いて位置合わせ結果を高精度化をし,3次元モデルを生成する.提案システムの有用性を検証するために,実験では,(1)生成された3次元モデルを用いた描画結果の品質,(2)本システム利用時におけるユーザの手に対応する点群の除去率,の2点に着目して提案手法の有効性を検証した.発表では,提案システムで行われる各処理を説明した上で,実験結果および考察を論述し,今後の課題を述べる.