分子アニメーションのための基準振動解析に基づいた動的骨格モデルの開発

村岡伸哉(1351107)


 分子アニメーションはタンパク質の関与する生化学反応の仮説を、動画として可視化する目的で活用されている。本研究では3DCGアニメーション作成ソフトウェアにおいて、分子モデルを動かす骨格の作成手法を開発する。基準振動を合成した振動運動を骨格に与え、骨格によって分子モデルで熱揺らぎを再現することを目的とする。
 まずタンパク質の原子モデルをその座標と基準振動解析によって得られる変位ベクトルを用いて、k-平均法により個のサブドメインに分割し、その領域ごとに骨格を決定する手法を考案した。得られた骨格では本来安定とされる、タンパク質の特徴的な二次構造の1つであるα−へリックスに歪みが生じる場合があった。そのため、さらにタンパク質の二次構造を考慮して骨格を決定する手法を考案した。これらの手法の骨格を設定したヘモグロビンおよびアミラーゼのモデルのアニメーションは自然な動きを実現できた。このような骨格モデルを用いた新手法と基準振動解析による原子の変位ベクトルを比較した結果、骨格モデルによる分子の熱揺らぎの再現性は妥当であることが確認された。