虚血性心疾患患者に向けた自由呼吸下における心筋パーフュージョンMR画像のレジストレーション
真鍋 章大 (1351100)
現在,心臓病は世界で最も多くの人が亡くなっている病気であり,その約8割が心筋梗塞などの虚血性心疾患によるものである.虚血性心疾患の診断は,心筋壁運動の解析,心筋バイアビリティ,冠動脈血流量,冠動脈狭窄部位を評価する必要があり,複数の検査を組み合わせて決定する.MRI(Magnetic Resonance Imaging)を用いた画像診断では,これらの評価を1回の検査で診断することができ,低侵襲に梗塞部位を診断することができる.心筋虚血の診断には心筋パーフュージョンMRIが用いられ,造影剤をボーラス静注して心筋の血流動態を解析することで診断する.診断の際,医者の視認のみならず,画像の数値解析をするため,心臓の複雑な動きを考慮して撮像しなければ検査精度が低下する問題がある.心臓の動きは主に拍動や呼吸による影響があり,拍動による影響は,心電図を参考にデータ取得することで抑制可能であるが,呼吸による影響は,検査中被験者の息止めにより抑制する.被験者にとって息止めが困難な場合を想定して.本研究では自由呼吸下の連続MR画像に対して非剛体レジストレーションを用いて心臓の形状,位置を補正し,息止め時と同等の検査の再現を目的とする手法を開発した.