定型的係り受けパターンの下降式適用について

増田 優 (1351098)


依存構造解析が困難な事例として,格要素の係り先述語の選択や複雑な複文構造の同定が挙げられる.困難さの原因は,遷移型解析において距離の近い文節が優先してかけられる傾向や,グラフ型解析において複数の係り受け関係同士が及ぼし合う影響を同時に考慮するのが難しいことにある.

本発表では,人手で収集した係り受け関係のパターンを解析時に降下的に適用することと,その当てはめ方に関する曖昧性解消をモンテカルロ木探索の考え方に基づいて行うことを提案する.係り受けパターンとは形態素や品詞の列から係り受け関係を定型的に決定できるもののことで,数多くの係り受け関係を含むものでもよい.はじめに述べたような困難な事例を収集してパターン化し本手法に用いることで,解析精度の向上が期待できる.