そこで,初学者の探索的プログラミングの支援を行うため,まず初めにプログラミング演習における探索的プログラミングの実態調査を行った. その結果,41名中16名に探索的プログラミングの傾向が見られた. しかし,初学者は探索的プログラミングを行う際に非常に長い時間を費やしていた. これは,過去に自分がどのような修正を行い,いつコンパイルあるいは実行を行ったのか,プログラミングプロセスを認識していないためであると考えられる.
そこで本研究では,初学者の探索的プログラミングにおけるプロセス認識を支援するためのプログラミング環境Pocketsを提案する. Pocketsは,ユーザが過去のソースコードに対してどのような変更を加えどの作業(保存,コンパイル,実行)を行ったか, また,それによってどのような結果が得られたのかを提示することでプロセス認識を支援する. さらに,過去の特定のリビジョンへ容易に戻ることが出来る機能も備えており,これらの機能によりユーザは過去にコンパイルあるいは実行が成功したソースコードへ容易に戻ることができ, 探索的プログラミングを効率よく進めることが出来ると考えられる.