生理指標に基づく搭乗者の快適性を考慮した車椅子ロボットの経路設計

野村 亮太 (1351084)


目的地まで自動走行する車椅子ロボットは,車椅子搭乗者の負担を軽減することが期待される.しかし,従来の車椅子ロボットに用いられている経路設計手法では,搭乗者の快適性が考慮されていない問題がある.本研究では,車椅子ロボット搭乗者の快適性を考慮した新しい経路設計アルゴリズムを提案する.従来の移 動効率を考慮した手法を用いて生成した複数の経路候補を走行時に搭乗者が感じ るストレスを予測し,予測結果を踏まえて最適な経路を選択する.予測のために,事前に走行時のストレス状況を学習する.実環境では様々な要因によりストレス を受けると考えられ,時空間分解能の高い評価を行う必要がある.そこで,本研究では心拍と発汗のような生理指標に基づいて評価を行う.生理指標は人がスト レスを感じるとその場で変化するため,計測した生理指標に基づくことで信頼性と空間的分解能の高い評価が行う事ができるという利点がある.実験を通して,ストレスの感じ方には個人差があり,個人内でも車椅子ロボット走行による以外の要因で変動することがある可能性が示唆されたものの,同じ経路を複数走行し,複数走行した際の生理指標の評価結果の平均を取ることで,車椅子ロボット走行以外の要因によるストレスを均し,統計的なストレス傾向を得ることで学習が行えることを明らかにした.そして提案手法を実装し,快適な経路を設計できることを確認した.