移動カメラ映像からの視点移動機能を備えるシネマグラフの生成
中島 章敬(1351076)
近年,Googleストリートビューなど,実写映像に基づいて構築した仮想化現実空間を探訪するアプリケーションが利用されている.
このようなアプリケーションでは,現状シーン全体を静止画像で提示しているが,動物体に関しては動きを提示した方がより高い臨場感をユーザに与えることができる.
動きの提示が可能な表現方法として,動物体のみを違和感なくループさせ無限に動かし続けるシネマグラフと呼ばれる動画の提示手法がある.
従来,シネマグラフの生成は,光学中心がほぼ固定された動画像を用いることを前提としている.
しかし,Googleストリートビューなどの仮想化現実空間は広域な空間を対象とするため,一般に移動カメラでの撮影により収集した画像群が用いられており,
視点位置に応じて撮影対象の見えが異なるため,従来手法をそのまま適用することは難しい.
これらの見えの違いを補償し,動的シーンに対応したストリートビュー提示を実現することを目的として,
移動撮影した動画像からの各フレーム撮影位置でのシネマグラフ生成および,テクスチャの時間的連続性を考慮した撮影位置間の視点移動手法を提案する.
ただし,本研究では,動物体として局所的な領域で動物体の見えの変化に周期性が存在する物体(水が流れる川や風に揺れる木の葉等)を対象とする.
実験では,単眼カメラと全方位カメラで撮影した動画像を用いてシネマグラフを生成し,提案手法の有効性を評価した.