PPCによる耐故障回路の実用的合成手法

都築 匠 (1351069)


近年,半導体の微細化に伴い,LSI回路の製造故障率が増加している.そこで,少ない面積オーバヘッドでの回路の耐故障性向上が必要とされている. 本研究では,耐故障回路モデルであるPartially-Programmable Circuit (PPC) に着目した. PPCは,専用回路(ASIC)の一部を論理の書き換えが可能なLook Up Table (LUT) で置き換え,回路中の適切な箇所からLUTへ冗長な結線を追加したものである.製造後のテストによって検出された故障に応じて,LUTの論理を書き換えるだけで,故障を回避できる可能性がある. しかし,既存のPPCの合成手法には1) 限定的なパラメータ探索のみで合成,2) 探索時間が膨大, 3) 複数LUT挿入について未評価という問題がある. 本研究では,より多くのパラメータを探索しつつ,実用的な時間で効率よくPPCを合成する手法を提案し,評価を行った. 実験により,単一LUTを使用してPPCを合成する場合,従来手法に比べて探索時間を約70%削減しつつ,追加面積あたりの耐故障性を3入力LUTで合成したPPCでは平均約10%,4入力LUTで合成したPPCでは平均約34%改善した. さらに,複数LUTを使用したPPCについて評価をおこない,少ない面積追加しか許容できない場合,従来の二重化手法に比べ,PPCが有効であることを示した.