RGB-Dカメラを用いた非剛体3次元復元のための3次元形状テンプレート生成

武原 光 (1351064)


近年,バーチャル試着システムやバーチャルペットなどの移動・変形する非剛体実物体を仮想的に提示するアプリケーションが開発されており,一般のユーザがこれらのアプリケーションを利用する機会が増えつつある. このようなアプリケーションの多くでは,人手による実物体の3 次元モデルの作成や動きの付与が必要であり,これらの作業には高度な技術が要求されるため,一般のユーザでも利用可能で簡便なモデリング手法が求められている. 非剛体物体の全周の形状と動きを自動的に復元する手法として,対象物の3 次元形状テンプレートをRGB-Dカメラから得られた3 次元点群に一致するように変形させる手法が提案されている. しかし,3 次元形状テンプレートは変形してない状態の対象物を撮影して生成する必要があるため,対象となる人や動物に大きな負担がかかる. 本発表では非剛体物体の3 次元形状および動きの復元に向け,移動・変形中の非剛体物体を単一のRGB-D カメラで全周撮影したRGB-D 画像列から3 次元形状テンプレートを生成する手法を提案する. 撮影されたRGB-D 画像から得られる3 次元点群は,3 次元形状テンプレートを局所的なアフィン変換で変形したもので表現されると仮定して,提案手法では,非剛体ICP アルゴリズムに基づく手法により3 次元形状テンプレート生成する. このアルゴリズムでは,非剛体運動のパラメータの初期値に基づいた3 次元点群間の対応点を利用してパラメータを更新することから,位置合わせの可否はこのパラメータの初期値に依存する. 提案手法ではRGB-D カメラから3 次元点群と同時に撮影されるRGB画像列に着目し,安定した非剛体位置合わせを実現するために,RGB 画像列から得られる追跡点を利用することで,非剛体ICP アルゴリズムにおける対応点の初期値依存性を緩和する. さらに,RGB 画像列から得られる画像間の特徴点対応を利用することで蓄積誤差を抑制する. また,物体の運動に対する仮定についても剛体運動から非剛体運動へと段階的にパラメータの数を上げることで,位置合わせの結果が望ましくない局所解へ陥ることを回避する. 実験では,移動・変形中の人体を撮影したRGB-D 画像から3 次元テンプレートを生成し,提案手法の有用性を示す.