ダイナミックな物体操作の習熟における体性感覚の役割

杉垣 彰教 (1351059)


ヒトの運動制御において体性感覚は,自身の運動を制御するために重要な役割を有している.例えば,物体把持においては皮膚の変形を触覚受容器で知覚し,対象物の重量や摩擦係数を推測することが可能である.また,関節は複数の筋肉によって動かされており,筋肉の動きは筋感覚によって知覚されており,自身の関節運動や関節にかかる負荷を知ることができる.ヒトが操りを行うとき,このような体性感覚によって知覚した情報を蓄積し,繰り返し経験することでタスクの目的に適した物体操作を習熟していると考えられている.しかし,ダイナミックな物体操作の習熟において,触覚や筋感覚がどのような役割を持つかについては詳しく分かっていない.

本研究では,ヒトのダイナミックな物体操作の習熟において,触覚や筋感覚がどのような役割を果たしているか明らかにすることを目的とする.本発表では,ダイナミックな物体操作としてコマまわし動作を対象タスクとした感覚運動制御の習熟実験について説明する.

また,ヒトの自然な操作を妨げない触覚(指先変形)・指先位置・表面筋電(筋力)の同時計測システムについて説明する.

実験の結果,ヒトのダイナミックな物体操作の習熟前後において,筋活動の大きさやパターン,指の変形量にそれぞれ変化が見られることが分かった.