本研究では,距離センサを用いて人体姿勢推定を行い,それによって得られた 姿勢情報を用いて身体状態の評価をするシステムについて提案する.
多くの身体状態の評価手法では,身体の特定の箇所にセンサ類を装着し動作の計測を行うことで,特定の部位の状態を診断している.そのため,身体のどの部位の状態が悪化しているかの評価をする事ができない.そこで本研究では身体全体の姿勢情報を用いて,身体状態の評価を行う.
本システムの目標は日常の動作の中から身体 状態の悪化の検知,予測をすることであるため,評価の対象とする動作は,日常的な動作を想定し歩行動作を扱う.
被験者に複数の種類の擬似的な障害を与えて, その時の歩行をデプスセンサによって撮影する.その撮影データから姿勢推定を行い,その姿勢データを元に障害の部位,およびその程度を推定する.そのために,評価に適した姿勢特徴に基づいた特徴量を調べ,最適な特徴量を選択する.
実験によって擬似障害の部位の推定は約88%の精度で行えることがわかった. また障害の部位がわかっていれば,障害の程度まで推定することが可能であることが示された.