太陽(月)追跡型データセンターを実現するための環状マイグレーション方式の提案と評価

澤田 直哉 (1351054)


近年、太陽 (月) 追跡型データセンターが注目されている。太陽(月)追跡型データセンターを実現するためには、データセンターをまたいで、 仮想マシン及びストレージを環状に移動させる事が必要となる。このようなストレージを環状かつ同一方向に移動する環境では、 ストレージの差分のみを複製し同期を行う事でストレージの移動に必要なネットワーク利用量を削減する事が可能となる。 しかし、既存の差分複製型ストレージマイグレーションを利用して環状にマイグレーションを行う場合には、各データセンター内の ハイパーバイザ間でストレージの整合性を保つ事が出来ないという問題がある。整合性が壊れた場合には、はじめからストーレージ全体の複製が必要となる。 本研究では、既存の差分ストレージマイグレーション技術と、ストレージの移動前後で差分の分離を行う世代管理を実現することで、 既存のストレージマイグレーション技術より高速で、ネットワーク利用量の少ない、差分複製型環状マイグレーション方式の提案を行う。 実験結果より提案方式が差分分離を行う要件を満たし、ネットワーク通信量及び移動時間を削減する事が出来る事を示した。