優れた装飾性を持つ軽量かつ低コストな電動義手
佐藤諒(1351052)
現在,前腕切断者が日常生活において選択可能な義手として,装飾用義手,作業用義手,能動義手,動力義手が存在する.これらの義手の利点を併せ持った義手として筋電義手などの動力義手が挙げられる.動力義手の中でも筋電義手は人の手に近い外観を有し,前腕部の筋電位を信号源とし義手の操作を行うことが可能である.しかし,筋電義手には装飾義手に比べ外観が劣る,重量が重い,価格が高額である,また,メンテナンスが困難であるといった課題を抱えている.
そこで本研究では,これらの義手のうち装飾用義手,筋電義手の利点である外観,機能性といったことに着目し,双方の利点を兼ね備えた義手の開発を行った.3Dプリンタを用いて義手の作製を行うことで,軽量,低コスト,メンテナンス性に優れる電動義手の開発を実現した.
開発した電動義手の機能評価について,実際に前腕切断者により機能評価を行い,開発する電動義手の有用性を示す.切断者による評価実験を行った結果,握力把握により,500[g]程度の物体を把持でき,日常生活における開発義手使用の有用性を確認した.