題目:センサネットワークにおける放送型通信に適したデータ認証方式

坂井 昭仁(1351045)



発表梗概:センサネットワークとは, センサノードと呼ばれる多数の端末によって構成されるネットワークシステムである. センサノードに搭載されているセンサによって設置場所の温度や家屋の使用電力量等の 環境情報を収集し、発信する。このようなセンサノードに対して、設定の変更や 時刻同期を行う際に放送型通信が用いられる。 放送型通信の安全性を確保するには,受信側のセ ンサノードにおいて,受信したデータの正当性を確認する必要があるが,センサ ノードは非常に限られた計算資源しか持たないため,デジタル署名等の汎用技術を 利用することは困難である.一対一の通信であれば計算量が比較的少ないメッセー ジ認証子を利用するなどの方策もあるが,放送型通信では,データ認証子は十分に 機能しない.μTESLA のようなセンサネットワーク用の認証プロトコルも提案さ れているが,受信データの認証に遅延が生じるため,DoS 攻撃の脅威にさらされる 可能性がある. そこで本研究では,複数のハッシュ連鎖を組み合わて利用すること で,放送型通信におけるデータ認証を遅延なく行い,安全かつ軽量に実現する方式 を提案する.提案方式には多くのパラメータがあり,それらのパラメータを調整す ることで異なった特性を実現することができる.本研究ではとくに,所与の安全を 確保しつつ,計算量やメモリ量などを最小化するための方式も提案する.さらに, 提案方式の安全性と計算量,ノードが保持するデータ量の関係について考察し,そ の効果を定量的に評価する. 本質的には、公開鍵暗号が発見される以前の技術だけでデジタル署名に相当する機能を 実現することに他なりません。