動的なセグメントを用いたフラッシュ符号の構成法
熊谷 一騎 (1351037)
PC 用のUSB メモリやSSD,携帯電話などの様々な情報機器において,フラッ
シュメモリが利用されている.フラッシュメモリは不揮発性記録装置で,読み込み
動作が高速,耐久性が高い,電力消費が小さいなどの利点を持つ.その一方,記録
操作を行うにつれ,フラッシュメモリの記録素子が劣化するという問題がある.記
録素子の劣化は,記録されたデータの信頼性を低下させ,フラッシュメモリを情報
記録に適さない状態にする.本研究で議論するフラッシュ符号は,記録素子の劣化
を抑え,フラッシュメモリの長寿命化を目指すための符号化方式である.本研究
では,従来の符号化の仕組みとは異なる記録原理に基づくフラッシュ符号を提案
し,その性能を評価する.提案手法では,2 つのセルにより1 つのスライスを構成
し,1つ以上のスライスで構成される動的なセグメントをフラッシュメモリの消去
ブロックに配置することで,データの記録を行う.提案方式では,セグメントを伸
縮したり,未使用の位置に新しいセグメントを配置したりすることが可能であり,
データ操作に応じて柔軟に,より多くのwrite 操作を実施することができる.ブ
ロック消去間の書き換え可能回数を計算機で評価したところ,既存の符号よりも優
れた性能を有することが明らかとなった.