マカクザルにおける統計的分節化関連脳領域の特定
木下雄貴 (1351035)

ヒトには周囲環境から統計的パターンを学習する能力や，それに基づく分節化の能力が備わっている．実際にヒト乳児の単語分節化に寄与しうることが示されており，ヒト成人では関連脳活動についての報告も存在する．
一方でヒト以外の動物での研究として，マカクザルの皮質脳波から人工言語の分節位置を統計的に有意な精度で復号化できることが明らかとなった．
これを受けて本研究ではマカクザルの統計的分節化に関連する脳領域及び時間周波数領域の特定を試みた．我々はマカクザルに多点計測を行うことにより得られた皮質脳波信号に対して，サーチライトデコーディングと呼ばれる手法を用いた．
この手法は，移動空間窓あるいは移動時間周波数窓に含まれる皮質脳波信号から対象情報の復号化を行うという操作を，窓位置を網羅的に移動させながら繰り返し行う手法である．
本研究ではこの手法によって分節位置の復号化と関連する脳領域及び時間周波数領域の特定を試みた．
本研究の結果として，脳の広範な領域で時間に関わりなく統計的に有意な精度で復号化が可能であり，マカクザルの統計的分節化の処理には複数の領域が関連していることが示唆された．