説得対話システムを用いた電力市場における売電価格制御

亀本 大貴 (1351033)


近年,限りあるエネルギー資源を有効活用するために, 電力産業の規制緩和及び電力市場の自由化への傾向が世界的に活発化しており, 日本国内においてもその傾向が顕著に現れ始めている. それに伴い,新たな電力系統システムの運営や管理に関して, さまざまな研究が行われている. その一例として,売電に関する研究が挙げられる. 売電とは,自家発電設備を持つ企業や, 太陽光発電設備を持つ一般家庭などが,余った電力もしくは,発電した電力すべてを電力会社などに売ることである. 電力が不足した際に売電によって不足電力を補うことを目的とした先行研究では, 売電価格を決定する方法が議論されているが, 事前に定めた所望の売電価格に設定することは難しい. そこで本研究では,売電家が, 売電価格に基づいて自身の利益を最大化するために利己的な振る舞いをする状況を想定し, 電力会社が不足電力量と総売電量を一致させつつ, 所望の売電価格を実現可能な売電価格制御系を提案する. これを達成するために意思決定支援用システム(説得対話)を導入する. また,シミュレーションにより, 電力市場において売電価格が制御できることを確認する.