光OOK重畳ファイバ無線システムにおける信号品質改善手法に関する研究

金子 裕哉 (1351032)


ブロードバンドワイヤレス通信システムの輻輳を緩和するために,小型基地局を多数配置しデータオフロードを行う方法が用いられているが,小型基地局の維持費が問題である. 一方,光ファイバ無線 (RoF: radio over fiber) 技術による中央一括制御を用いることで複数のスモールセルを低コストで運用することが可能となるが,光ファイバの設置を含む導入コストが課題である. 本発表ではファイバや光源を節約した容易なRoFの導入を目的に,イーサネットで使用される光OOK (on-off keying) 信号とRoFのRF (radio frequency) 信号を同時伝送するシステムを提案する. 提案システムは,光OOK信号を光源とした外部変調によって RoF 伝送を行うことで,既設のイーサネット機器を利用できる.

本発表ではまずRoFの概要を説明し,ファイバを節約してRoFを導入すること目的としたベースバンド信号とRF信号の同時伝送に関する先行研究を紹介し,それらの問題点を述べる. 次に,それらの問題点を解決する同時伝送システムとして,光OOK信号を光源とした外部変調によってRoF伝送を行う光OOK重畳ファイバ無線 (RoOOOK: radio over optical on-off keying) を提案する. 提案システムでRF信号が伝送できることを説明するために,OOK信号を搬送波として変調したRF信号のパワースペクトルや SNR (signal-to-noise power ratio) を理論的に解析する. 次に,10Gイーサネットを使用した提案システムのRF信号品質およびダイナミックレンジの実験結果,理論解析との比較について報告する. 理論と実験により,提案システムには光OOK信号とRF信号の相互干渉が存在することを明らかにする. この問題を解決するため,RF信号に対する干渉の除去法およびOOK信号のBER (bit error rate) を最小とする最適復調法を示す.