可変分解能モデルを用いた熱延鋼板冷却プロセスの予測制御

宇田川大二郎 (1351012)


モデル予測制御 (MPC) は,種々の制約を持つ問題に対して有効な手法である. しかし,大規模かつ比較的速いサンプリングレートを必要とする制御対象に対し ては, 計算量の観点から MPC の適用は困難となる.本研究では,その典型例で ある熱延鋼板の 3 次元温度分布制御を考える. 熱延鋼板の機械的特性は,冷却時 の温度履歴によって決定されるため, 冷却制御性能は非常に重要である. しかし, 3 次元温度分布の数値計算モデルは高次元になってしまうため, MPC を適用する ときに計算量が問題となる. そのため, MPC の予測モデルとして, 元の高次モデ ルの情報をできるだけ損なわない低次モデルを導入し, 計算量を削減することが 望まれる. 本研究では, 低次モデルとして, 可変分解能モデルの導入する. このモデルは, 鋼板の温度分布(温度ムラの抑制の進行状況)に応じて, モデルの空間分解能を 動的に変更させ, 全体としての計算量を削減する. 本研究では, 可変分解能モデル を用いたモデル予測制御による冷却シミュレーションを行い, 可変分解能モデル の有効性を示した.