特異摂動変換と二段階最適化を用いた実時間モデル予測制御

石原弘二 (1351006)


局所軌道最適化手法を用いた最適制御は,高次元の状態空間を持つ非線形システムの最適制御器設計に対して有効である.さらに,実システムの制御では,モデル化誤差や人との接触によって発生する力などの外乱が問題になる.これに対して,実時間最適制御が有効性を示している.特に,近年の計算機の発達や効率の良い最適化計算手法の提案により,フルダイナミクスを用いた実時間最適制御の実現に向けた研究が始まっており,シミュレーション上のロボットの多様な運 動が生成可能であることが示されている.しかし,フルダイナミクスを用いて有限評価区間に対する最適制御問題をリアルタイムに解くことは,計算コストが非 常に高く,計算時間の問題は未だに解決されていない.そこで,本研究では,フルダイナミクスを用いた実時間最適制御の実現に向けた,計算時間の短縮を可能とするモデル予測制御法の提案を行う.具体的には,特異摂動変換と二段階最適 化を用いたモデル予測制御を提案する.検証として,提案法を一つの物理系が異 なるモードに分解できるシステムと異なる物理系が組み合わされたシステムに適用する.シミュレーション実験と実機実験を通して,提案法により,制御性能を 低下させること無く,計算時間を短縮できることを示す.さらに,評価区間を増 加させることができるため,制御性能を向上させることが可能であることを示す.