題目 PETによる海馬における糖代謝量の性別・年齢の影響

池田 健 (1351005)


側頭葉てんかんの早期発見および予後診断を目的として、18-F フルオロデオキシグルコース(18FDG)を用いた陽電子放出断層撮影(FDG-PET)により、海馬が診断の対象とされている。
PET画像は代謝量など機能的な情報に優れているが、構造をみわけるのが難しい画像である。PET画像を構造別に解析する方法の一つとして解剖学的標準化があげられる。あらかじめ脳構造がわかっているテンプレートの画像に合わせて非線形変換を行い、対応した箇所での代謝量に ついて解析を行う手法が一般的である。しかし、問題点として非線形変換により、比較的小さい構造部位の変形によるずれの影響が大きくなる可能性がある。そこで本研究では、解析対象を海馬に絞り、磁気共鳴画像(MRI)を用いて海馬領域を抽出した後、MRI画像と剛体変換による位置合わせを行ったFDG-PETにおいて、 脳ブドウ糖代謝量と被験者の年齢や性別との関連について検討した。被験者間での比較において体積と輝度値だけでなく、体積当たりの輝度値から 算出される比率も合わせて比較した。 結果、一般的な老化では比率に影響が見られなかった。さらに男性と女性では女性の方が、特に年齢に従って比率が高いことが見られた。