フィードバック系における動的量子化器設計:システムの直列分解に基づくアプローチ

下浦 啓 (1251201)


動的システムの制御において, 制御対象の入力が離散値に制限される場合がある. たとえば, システムに ON/OFF の 2 値しか出力できないアクチュエータや, 帯域制限のあるネットワーク通信路を含む場合などである. そのような離散値入力型システムの制御において, 連続値信号を離散値信号へ変換する量子化器が大きな役割を担う.先行研究では,量子化器を含むシステムの入出力特性を, 量子化器を含まない理想的なシステムの入出力特性に最良近似するという意味で,最適な動的量子化器を提案している. しかし, 非最小位相系に対しては, 量子化器が不安定になるという問題があった. そこで本発表では, 非最小位相系に対して, 安定な動的量子化器を解析的に導出することを目的とし, フィードバック構造をもつシステムに対して, 直列分解に基づく設計手法を提案する. また, 直列分解についての考察を行い, 量子化器の性能を向上させる直列分解方法に対する指標の一部を明らかにする.