カメラ感度特性と人の視覚特性の違いを利用した\\低視認パタン埋め込み手法
山田 與志雄 (1251113)
本発表では,カメラの感度特性と人の視覚特性の違いに着目し,低視認性を保ちつつディスプレイ映像中にパタンを埋め込む手法を提案する.本提案手法を応用することにより,マルチディスプレイ環境において,カメラ付き携帯デバイスを介したコンテンツ操作を行うインタラクションの実現を目指す.そのためには対象となるディスプレイの特定およびそれに対するカメラの位置姿勢を推定する必要がある.従来方式としては,表示されている映像の特徴点をや,埋め込みマーカを利用したりしていたが,これらは特徴点を有する映像が必須であったり,人にもマーカが知覚されてしまうなどの問題がある.一方で,特定の条件下で動作する,継時加法混色の原理を利用した2色高速切り替え表示によるパタン埋め込み手法などが提案されている.本研究では,この原理を応用し,高速で切り替える映像の中に,人には見えにくく,カメラでは取得可能なパタン埋め込み手法と同時に,ディスプレイ表示周波数とカメラ画像取得周波数に一定の差を設けることで生じる"うなり"を利用したパタン抽出手法を提案する.本手法のパタン埋め込みとパタン抽出によって,従来では困難であった60[fps]の一般的なカラーディスプレイに対しても,パタンを抽出することが可能となった.
また本手法では,パタンが埋め込まれた撮影画像から,パタンが埋め込まれる前の元の画像を復元することが可能であるため,ARなど,撮影画像中にパタンが表示されることが好ましくない場合への利用も有効である可能性を見つけることが出来た.