NAIST-IS-MT-1251109:柳井 一成 非侵襲的な深部体温計の開発及び基礎実験での検証
柳井 一成 (1251109)
外気の影響を受けやすい皮膚温に対して,身体の中心部の温度は主要臓器の活動温度を反映しており,深部体温と呼ばれる.
臨床領域にはもちろん,ヘルスケア領域でも幅広く使われている.深部体温を連続的に計測することができれば,有益な生体情報を比較的容易に取得することができると言える.本研究では,無拘束非侵襲な双熱流法に基づき,深部体温計を改良することを目的として,深部体温計の試作,実験系の構築及び性能比較・評価を行った.
双熱流法による深部体温計の温度プローブを有限要素法シミュレータによって解析した研究に基づき,改良型プローブと従来型プローブを試作した.
また,これらのプローブの性能比較を行うため,人体皮膚を模した温度計測実験系を構築し,計測精度やリードタイム,温度変化に対する追従性などを計測し比較した.
実験の結果,計測精度はシミュレーション通り改良型の方が約0.1℃向上し,リードタイムも改良型の方が約4分短くなった.
また,温度追従性も時間遅れはほとんど見られず,従来型プローブよりも1〜2分早く安定に達するなど,深部体温計として必要な要素について性能が向上したと言える.
また,改良型プローブは従来型プローブよりも小型化されており,常時装着したとしても違和感は軽減されているといえる.
本研究では,非侵襲無拘束な深部体温計について,プローブを改良することで精度や応答性などの向上を確認した.
今後,深部体温計の普及により,重要な生体情報である深部体温を一般の人も手軽に計測可能となり,生活の質の向上に繋がることを期待する.